第7回 全日本自転車競技選手権大会トラックレース

第7回 全日本自転車競技選手権大会トラックレース
(7月10・11日、宮城県黒川郡大和町 宮城県自転車競技場・周長333m)
Text&Photo=ヤブイ ヌヲ

GSキヨ・ミヤザワに、初の全日本選手権チャンピオン誕生!
女子ポイントレースで、村中恵美子、女王さまの座に着席!!
(!マーク奮発)

 自転車トラック競技、国内の頂点を競う大会で、パリンヤこと村中恵美子、初の栄冠を手にしました。種目は大会二日目に行なわれた女子ポイントレース。
 監督、パリンヤともども、トラック競技の「本職」は目下のところ3km個人追抜競走、と考えており、ましてや、1ヶ月前、ポイントレース歴3年目でやっとこさ初得点を上げることが出来た選手が優勝するとは、正直言って競技場に居合わせた誰もがまったく予期していませんでした(間違いない)。
 しかし、今回手にしたタイトルは、まじりっ気一切なし、正真正銘のナショナルチャンピオンです。毎晩、工房の横で繰り返してきたローラーとの格闘で、充二分に高まっていた脚のポテンシャルを、パリンヤ、ついに引っ張り出すことに成功しました(んでもって、自分でもちょっとびっくり)。
 また、大会一日目に行なわれた「本職」である個人追抜では2位を獲得。二日間とも表彰台に立つことができました(というのは比喩的表現でありまして、実は、チャンピオンになったにもかかわらず、二日目は表彰台に立てなかったのでありますが…)。

●競技場内は40度Cを越えているのでは?! ただ立っているだけで汗ぐっしょりの酷暑にみまわれた競技初日。過去に好記録が生まれ、高速バンクと思われている宮城県自転車競技場ですが、この暑さがレースにどう影響してくるか…
●競技開始前に設けられた練習走行の時間で、当日のバンクの感触や風の影響、バイクのポジショニングを最終確認

 ■10日9:55〜、女子3km個人追抜・予選

●女子の個人追抜には、5月の全アマ・トラックと同時開催されたJOCジュニアオリンピックカップの成績優秀者3名、全アマの優勝者であるパリンヤの、計4名がエントリー。パリンヤの敵は皆ティーンエージャーという、ちょっとびっくりの番組編成です。まず、予選第一組はティーン同士の対決。ホームスタートの和田見里美選手(倉吉東高校)、4分23秒329で3−4位決定戦へ
●パリンヤが見つめる前を、このレース最大のライバル、萩原麻由子選手(伊勢崎女子高校)が駆け抜ける
●昨年からの勢いが衰えていなければ、4分を切ってくる可能性さえあった萩原選手。スタートがやや遅く、後半、驚異的に追い上げてくるという走りのパターンはいつも通りでしたが、4分09秒214と、これまで筆者が観戦した中では一番遅いタイムで決勝進出。この日のバンク・コンディションは、暑さの影響か、どうもかなり重かったようです(他の種目も一様に記録が伸び悩んでいました)
●予選第二組、パリンヤ、ホームストレッチから発進。萩原選手とは反対に前半にタイムを稼ぐパリンヤ、スタートの勢いをどれだけ維持できるかがカギです
●パリンヤの対戦相手は石井寛子選手(明治大学)。「このくらいの年齢の伸び盛りの選手は、1ヶ月で10秒くらい平気で縮めてくることがあるからコワイ」とわがチームの監督はかなり警戒していました
●全アマ・トラックに続き二戦目のニューマシンを駆るパリンヤ。昨年までのフレームより低いハンドルポジションがとれます。中盤までは4分一桁台でゴール出来るペースを維持
●石井選手は4分21秒579で3−4位決定戦へ
●2kmまでは、予選一組の萩原選手の記録を1.5秒ほど上回っていたパリンヤですが、最後の1kmでやや失速。4分11秒443で決勝進出。タイム的には、萩原選手に最後の1kmで一挙に4秒近い差をつけられたことになります。恐るべし、萩原選手の末脚。午後の決勝は厳しい戦いになりそうです

 ■13:30〜、女子3km個人追抜・3−4位決定戦

●和田見選手はあえてドロップバーを使用している模様。エアロバーが普及するまでは、当然、誰もがこのスタイルでした
●4分21秒149で石井選手が3位を獲得
●和田見選手、4分22秒878で4位。個抜は一日で二本走るスケジュールが組まれると、一本目の予選の走りで最速タイムが出ることが多いのですが、3−4位決定戦の二選手は、猛烈な暑さの中、ともに予選のタイムを更新してきました。若さのなせるワザか

 ■13:50〜、女子3km個人追抜・決勝

●前半でタイムマージンを稼ぐだけ稼ぎ、萩原選手の追い込みに対抗しようとしたパリンヤですが、スタート時にシューズカバーがクランクに引っかかるアクシデントが発生。スムーズに加速できず、タイムを1秒ロスしてしまいます
●スタートから約半周で、エアロポジションに移行しようとする萩原選手
●その後、持ち直したパリンヤ。レース中盤はお互いに抜きつ抜かれつのデッドヒートを展開
●萩原選手のラストスパートは、やはり強烈でした。最終1kmのスプリットタイムは、それまでの1kmごとのタイムより3秒前後速く、結果、4分10秒332という記録で優勝。高校三年生にして女子個人追抜の全日本タイトルを獲得
●個抜で、またしても萩原選手に苦杯を飲まされたパリンヤ。4分13秒123で2位。スタートの失敗でロスした1秒を差し引くと、予選同様、2秒の壁が萩原選手との間に立ちはだかっています
●個抜表彰式。「このままジョシコーセーにナメられっぱなしじゃあ帰れねぇ。明日のポイントレース、世間の荒波でもみしばいたる!」と、社会人のお姉さんは心ひそかに決意?

  →全日本選手権トラック その2に続く

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