キヨのひとり言

 ■第2話「オナラのメカニズム」

 この間、オナラをしようとしたら水便がもれてしまった。男46にして情けない。 慌てて風呂場に駆け込みお尻をチャパチャパ洗って新しいパンツに履き替え、ふと考えた。汚したパンツはどうしよう? そのまま洗濯物入れに投げ込むのはまずいだろう。洗おうか? 何かめんどくさそうだし、とりあえず洗面台でざっと水に流してそのまま置いておくことにした。

 夕方、嫁さんが買い物から帰ってきて、「洗面台のなかにあるパンツは何なの?」と聞くので、事の顛末を細かくジェスチャーも交えて臨場感たっぷりに報告したら、 「顔を洗うところをなんだと思っているの!!」と怒鳴られてしまった。言われてみればそれもそうだ。

 ところで私たちはオナラをするとき、排便をするとき、いったいその迫りくるものがガスなのか固体なのかをどのように判別するのだろうか? 男46にしてパンツを汚したその日より、オナラをするたび、排便をするたびにその神秘のメカニズムが気になってしょうがない。

 オナラをしようとりきんでみると、「ん、これは違うな」、と感じて慌ててトイレにかけこんだことはありませんか? つまり私が思うに、どうやら直腸の肛門近くに、その迫り来る物がガスなのか、固体なのか、はたまた流動物なのか(それもごく液体にちかい)を判断するセンサーみたいなものが存在するのではないかと思うのですが....。 だからオナラをしようとりきんでみると、「ん、これは違うな」、と肛門センサーのシグナルを右脳だか左脳だかがキャッチして、慌ててトイレにかけこみ事無きをえる。

 しかし今回の私の場合は、腹の調子が悪かったのを忘れて、誰もいないことをいいことにパワー全開でりきんでしまったところに痛恨のミスがあったのですね。パワー全開でりきんでしまったために、肛門センサーの「これはガスではない、流動物、それも ごく液体に近い流動物、ストップ!!」というシグナルを右脳だか左脳だかがキャッチする前に、 一部がフライングしてしまったわけです。

 これはすごい事を発見したと数人の友人に話してみたが、感性の鈍い連中ばかりなのか、 この感動を分かち合うことができなかった。 これを書きながらふと思ったのだが、新宿2丁目辺りで活躍しているおネーちゃんたちというか おニーちゃんたちは、不適切な使用により、みんなこの大切な肛門センサーがぶっ壊れてしまって いるのだろうか?

 秋の夜長、何か悪いものでも食べたのか、腹の中で虫が鳴いている。 ピーヒョロ、ピーヒョロ、ピー。

 2000年9月 宮沢 清明

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